「街の電波」を使用する実験を開始しています
都市河川という極めて特殊な測位環境において、衛星信号(GNSS)のみに頼るシステムには明確な限界があります。
特に阪神高速が巨大な「蓋」となっている東横堀川や城北川、高層ビル群に囲まれた道頓堀川では、電波の遮蔽や反射による位置情報の欠損は、boatmark™の構想当初から解決すべき「既知の壁」でした。
この技術的課題に対し、一部の端末で新たに「フェールオーバー(予備手段)」の実装試験を開始しました。
1. 衛星電波の限界を「街の電波」で補完
これまでの測位は、空が開けた環境を前提とした衛星電波が主役でした。しかし、上空を構造物に覆われた水域では、どれほど補正アルゴリズムを磨いても、信号そのものが届かない「空白地帯」が生じます。
今回の実験では、衛星信号が途絶えた場合に、周辺のワイヤレス通信(Wi-Fi)や携帯電話ネットワークの基地局情報を参照し、位置を補完する仕組みを導入しました。
GNSSが見えない場所で、街中に溢れる電波信号を活用するアプローチです。
2. 「情報の欠損」をいかに減らすか
現在までの実験により、以下のエリアで顕著な改善が確認されています。
東横堀川・城北川:高速道路の下に隠れた瞬間にアイコンが静止・消失する現象に対し、ネットワーク測位によって「おおよその航行位置」を維持し続けられるよう改善されます。
道頓堀川:ビル壁面での電波反射(マルチパス)によるアイコンの異常なワープ(飛び出し)や棄却を抑え、より安定した動静表示が可能になっています。
3. 途切れない「見守り」の実現に向けて
boatmark™は精密な海図ではありませんが、他船の存在という「可能性」を絶やさず表示し続けることが、安全を支える「見守り」の本質です。
この技術実装は、これまでシステムの機能が十分でなかった「死角」を一つずつ埋めていくプロセスでもあります。
過酷な環境下でも現場で安心感を持てるシステムを目指し、実証データを元にしたアルゴリズムの改良を継続しています。
対応端末への交換のご案内
本機能の本格導入に向け、現在、対応端末への順次入れ替えを進めています。特に測位環境が厳しく、かつ通航量の多い道頓堀川・東横堀川を頻繁に通航される船舶を優先し、無償での端末交換にて対応させていただきます。
交換をご希望の事業者様、または自社の運航ルートでの効果を確認したい方は、お気軽にお問い合わせください。