当初より、このシステムの開発にあたっては、大きな期待とともに、懸念も抱いていました。 航行中に他船の位置がわかることによる安心感、いざという時やインシデント発生時に“誰かが見ていてくれる”という心強さ。将来的には、お客様への情報開示によって、業務への誇りにもつながるかもしれません。 その一方で、この仕組みによって、船長さんや船員さんが「(会社に)監視されている」と感じてしまう心理的な抵抗が生まれる可能性があります。 この取り組みは、使い方ひとつで「安心」にも「監視」にもなりえます。 そしてもし、「監視されている」というストレスが積み重なれば、意識的にも無意識的にも、「位置を開示しない」という選択につながりかねません。それは、この仕組みが本来目指していた安全を、むしろ損ねてしまうことになります。